転んでもただでは起きない

「転んでもただでは起きない」この言葉は、人のしたたかさを軽い皮肉と羨望を込めて揶揄するときに使う言葉ですね。

少しニュアンスは違ってしまうかもしれませんが、心を癒していくことに対してもこの言葉はとてもよく当てはまると思います。

何か自分の身によくない事が起きたとしても、それをただ悲観するのではなく、そこには何らかの学びがあるとして積極的に受け止めて行く生き方ともいえるからです。

これはいつもお伝えしていることなのですが、いやな出来事に遭遇したり、困った事態に巻き込まれたりするときは絶好の気付きのチャンスだと認識することです。

もしもそこで何も気付くことができなかったとしてもそれはそれで問題ありません。ただそうした態度でいつも生活するということがとても大切なのです。

私は10年前に癌を患ったことをきっかけに、20年以上に渡るサラリーマンの生活をやめて今のセラピストの仕事をするようになったのです。

癌になることは転ぶ程度の可愛らしいものではありませんでしたが、そのときに自分のやりたいように生きてみようという決意ができたのですから、大きな気付きをもらえたと言えると思います。

多くのクライアントさんがそれこそ多種多様な悩みや問題を抱えて、セッションにいらっしゃるのですが、根底にあるセラピーの考えはすべてこれなのです。

つまり、勇気を持ってセラピーにいらしたということは、当面の問題がすぐにどうこうなるということよりも、人生レベルでとても大きな変革のチャンスが到来していると見ることができるのです。

ピンチはチャンス、失敗は成功のもと。こうした言葉は概ね似たような意味が込められていますね。今回、帯状疱疹になったことも、まだまだ根深く残っている自分の心の闇の部分を少し見つめることができたかもしれないと思っています。