自己イメージを護らない

誰でも、もっとマシな自分になりたいと思っているものです。そういう思いを向上心と言うのだとしたら、それはこの世界では最も認められているものの一つだと言えますね。

自分が今のままでいいと感じている人は少ないと思います。私たちは常に、より良くなろうと思って、目標を設定したりするわけです。

けれども、そうした目標というのはただ向上するというのではなくて、実は巧妙に自分の都合のいい向上の仕方だけを求めているのです。

今まで作り上げてきた自分像、自己イメージはそのままにしておいて、邪魔だなと思うような部分だけを削り落として行きたいと思っているのです。

そのことに気づくことはなかなかありません。なぜなら、その邪魔な部分というものが自己イメージそのものから作られた結果だということを認めようとしないからです。

都合のいい部分はそのままにして、都合の悪い部分だけを何とかしようとするのです。こんなことは全く不可能なことだと気づかねばなりません。

気づかないからこそ、いつまでも不都合な部分が居残り続けるのです。そうやって、自分に都合のいい向上だけを願っているということに気づくと、本当にバカバカしくなります。

あらゆる苦悩の原因が、自分にとって都合のいい自己イメージそのものにあったという、何とも残念な結果を受け入れる勇気が必要なのです。

一番悲惨なことは、そうした苦悩の原因を外側に探し当てようとし続けることです。もしも、それがやめられないなら、一生涯その苦悩を自らが作り続けてしまうのです。

今自分が苦しんでいる原因を、今の自己像の根っこに見出そうとすることから、目を背けないことです。決して、外側を見てはいけません。

これが自分なのだと思い込んでいる自分、自己イメージに思い切ってメスを入れるのです。そして、その嘘を暴く勇気を持つことです。

それ以外に本当の救いはないとはっきり理解することができたら、あとは時間がかかっても必ず自分の本質を見破るときがやってくるはずです。
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