欲望との葛藤

セッションルームから歩いて数分のところに、井の頭公園と動物園があるのですが、最近その動物園から何かの動物の鳴き声が聞こえるようになりました。

と言っても、朝と夜にたまに聞こえる程度なのですが、それがちょっと普段その辺では聞くことのできないような、鳴き声なので気になるのです。

最初は、象のはな子の鳴き声かなとも思ったのですが、今は少し大き目の鳥の声かもしれないと感じていますが、いずれにしてもあまり幸せそうな声ではありません。

動物はしゃべれないので、何かを訴えているように聞こえると、こちらが悲しい気持ちになりますね。思い違いならいいのですが…。

そのことからちょっと飛躍し過ぎるかもしれませんが、最近なぜか狼男とか、ヴァンパイアの映画を観たのですが、彼らも悲しい運命なのですね。

彼らに共通しているのは、怒りを覚えたり、性的興奮を感じたりすると、普段は人間の格好でいられるのに、それから変身してしまいそうになるのです。

狼男はケモノのように、人を襲って食ってしまいたい欲望が出てくるし、ヴァンパイアは人の血を吸いたくなってしまうということです。

それをなるべく理性で食い止めているところは、どうも人間とあまり変わらないのかもしれないと思うのです。

私たち普通の人間も、怒りや性的興奮をそのまま他人にぶつけることはいけないことだとして、理性をもって抑制するのが当たり前なわけですから。

もしかすると、人間のそうした「悪」とされている欲望との葛藤を描いたものが、狼男やヴァンパイアといった物語になったのかもしれません。

欲望そのものが悪いということはありませんが、それが自分の主人になってしまうと苦悩することになってしまうということです。

欲望は、大抵過去の体験を忘れずにいて、その中の都合のいいものをもう一度手に入れたいと思うことからやってきます。

いつもできるだけ、今に耳を傾け続けるようにしていれば、過去が追いかけてきてもそれに巻き込まれずに済むようになるはずです。

そうなったら、きっと欲望と自分の関係が逆転して、自分が欲望の主人の座でいられるようになるのでしょうね。