改善と変容の違い

多くの人の自我が持っている欲望の中でも、特に面倒なのが自分を改善したいという欲望です。私はそれを改善病と呼んでいます。

綺麗な言葉を使うと、自分をもっと磨きたいであったり、もっと成熟したいとなったりしますが、要するにもっと素晴らしい自分になりたいというものです。

けれども、真に変容することを望んではいないのです。変容するとは、今あるあなたがある意味消えて、新しいあなたになるということだからです。

そのくらい改善と変容は異なるのです。セッションにいらっしゃるクライアントさんの本当の願いとは、今の自分のままで問題が解決すること。

今ある自分はそのままにしておいて、都合よく治したいところだけが改善されればいいと思っているのです。

ところが深く理解することができれば、それが不可能なことだと気づくはずなのです。今の問題を作っているのは今のあなただからです。

今のあなたの一部が死んで、生まれ変わることによってのみ問題が消えていくのですが、それを受け容れることができないのです。

そのくらい自我は自分を本当は変えたくないと頑に思っているのです。そのことを知っておくことは無駄なことではないですね。