2001年の初頭からセラピストとして仕事をするようになって、すでに21年以上が経ちました。思えばあっという間でした。
その間に1万回以上のセッションを通して、さまざまなクライアントさんから莫大な量の気づきを与えてもらったのです。
どんな書物を読み漁っても、どれほどの賢者に教えを請うても、これほどの気づきを体得することはできなかったはずです。
なぜなら沢山のクライアントさんのマインドをリアルに見せてもらえたことで、間接的ではあるけれど貴重な擬似体験をさせてもらえたからです。
数ある気づきの中で一つ例を挙げるなら、自分や他人に対してできるだけ期待せずにいることの大切さを学んだのです。
セラピストとして当然のことですが、クライアントさんに対して様々な期待をしてしまうのですが、それが大きく変化したのです。
期待が愛ではないということにも気づいたし、期待は言葉を変えれば欲望でしかないことも理解できたのです。
そのおかげで自分への期待も激減してしまいました。その分だけ私の自我は縮小したのかもしれません。
そして最近では、さらに期待を小さくする生き方を学んでいます。それは認知症が重度になってきた母親との会話においてです。
夜間に特に支離滅裂になってしまう母親に対して、どこまで期待せずに対応し続けることができるのか?
分かって欲しいという願いが独りよがりの欲望でしかないということを、繰り返し思い知らされるので、貴重な学びの場だなと思うのです。