したいことがない人生

ずっと長い間自分を生きてきて、何があっても少しも変化しないことがあるのですが、それは「自分には特別したいことがない」ということです。

この年齢になって、何もしたいことがないと言ったところで、ああそうですかと言われるだけなのは分かっています。

けれども、幼い頃からずっとそうだったので、それは少々気味の悪い子供と思われてたとしても仕方ありません。

本人としては、親から何と言われようと、実際にどうしてもやってみたいと思えるようなことが一つもないのですから、どうしようもないのです。

若い時に、何もしたいことがないなんて不健康だと自ら思い立って、人並みにいろいろ試してみたものの、いつだって「したいことはない」に戻ってきてしまうのです。

そしてとうとう、人生の半ばにして気づいてしまったのです。他人が何かに夢中になっていようと、自分は自分でしかないのだと。

したいことがないというハンデ?を背負って生きていくのが、自分の人生なんだと。悩むことも、ダメ出しもすることなくただ、自分であればいいと。

そうなったら今度は、この「したいことはない」が強みになってきたのです。なぜならそれが希望を弱める働きをしてくれるからです。

あれをしたい、これをしたいが強ければ、未来に希望を持ち続けることができるのですが、それがないので私の中で希望は薄くなっていくばかり。

淡々とその瞬間を生きていくことだけの人生。人生と呼べる物語も小さくなって、過去と未来も薄れていくようになるのかもしれません。