なぜ死ぬのが怖いのか?

野生動物の世界を垣間見ると、そこには弱肉強食の世界が広がっています。ライオンに襲われそうになったら、シマウマは必死に逃げるのです。

そのシマウマになぜ君は逃げるの?と聞いたら、ライオンに食べられたくないからと答えるかもしれません。

もちろん実際には、本能的な恐怖によって逃げるという行動を起こすのです。それは無意識的な活動なのです。

その本能が生物を存続させているのは明らかですね。崖から谷底に落ちそうになっても、恐怖によって退くことがなければ生命は保たないからです。

人間にも他の動物と同様な生き延びるための本能が備わっていますが、人間にはその他にも心理的な恐怖というものがあります。

人間だけが死ぬということを認識しており、その死を恐れるのです。けれども、なぜ死ぬのが怖いのかを厳密に見てみると簡単には説明できないのです。

死んだことがないのに、死を恐れるというのは何とも不可解な話しです。あれだけは二度とごめんだと言う理由で恐れるなら分かるのですが…。

それなら心理的に死を恐れる本当の理由は一体何なのか?いくつかのことが考えられるのですが、私としては死によって未来が消えてしまうからだと思うのです。

未来こそが、自我にとっての希望や欲望がある場所だからです。自我から希望を取り除いてしまったら、それこそ生きている理由がなくなってしまうのです。

未来という希望を置いておくスペースが是非とも生きるのに必要だと分かっているのです。だから時間というものを発明したのも自我(思考)なのです。

いずれにしても死にまつわる恐怖については、もっともっと深く深く見つめてみる必要がありそうですね。