私たちは、人生の多くの時間を知らずに過去と未来に向けることに費やしています。特に、過去は非常に大きなウエイトを占めていると言っていいと思います。
生まれてから今までに蓄積してきた経験や自分の反応の集大成が自分であり、それが自分のアイデンティティとなっているからです。
その過去からの蓄積が自分の人生にとってプラスに作用するものであればいいのですが、マイナスに作用するものも沢山残っているのです。
そればかりか、そのマイナスな過去の蓄えをいつまでも引きずって、今の人生を棒に振ってしまうことが多いのです。
クライアントさんとのセッションでは、ご本人が隠し持っている過去に体験した苦悩を暴露して、それを真正面から受け止めることを進めていきます。
そうやって、過去のわだかまりやネガティブな感情などを開放していくのですが、ある程度そうしたことを真面目にやっていくと、突然びっくりすることが起きます。
それは、ご本人が何気なく忘れるようにしていたであろうプラスの体験を思い出し始めるのです。その結果、自分の人生が不自由だという理由ばかりを見ようとしていたことに気づいてしまいます。
本当は、ご両親から愛を与えてもらっていた体験や、周りの大人たちから守ってもらえていた経験などが、都合の悪いことだとしてなかったことにしていたと気づいてしまうのです。
なぜそうしたプラスの経験を都合が悪いことだと思うかと言えば、自分の不自由さを誰かのせいにしたいというエゴの思惑があるからです。
でも、苦しみや辛さをしっかり正面から受け止めてあげることによって、そうしたプラスの体験のことも思い出すようになるのです。
そうやって、いいことも悪いことも含めて、過去のことを公正に見直すことができるようになって、初めて過去から開放されていくことになるのです。