二種類の恐れ

癒しにおいてよく言われることですが、恐れから逃げずに恐れとしっかりと向き合うことがとても大切なことなのだと…。

耳にたこができるほど、何度も形を変えて言われてきた言葉だと思います。それでも、いざとなると恐れに立ち向かうのは腰が引けてしまうものですね。

恐れといっても、動物でも感じるような反射神経的なものと、心理的な恐れというものとの二種類があるということは明確にしておくべきことです。

前者の恐れとは、例えば崖っぷちに立ったら足がすくむなどして、身体ごと反応してしまうようなもののことです。

生物としての自己防衛本能による恐れであるので、これを何とかしようとしてもそれは無理なことです。勿論、何ともなるはずもありませんね。

癒しで取り扱う恐れとは、後者のことです。つまり、心理的な恐れのことです。それは、罪悪感とも密接にからんでいますし、不安感や自己嫌悪感などの否定的な感情と結びついています。

生命の危険とは直接関連しないはずである、こうした心理的な恐れについて、それを自分が今までどうしてきたかを深く感じてみる必要があると思います。

そして、恐れから逃れようとしてやってきた自分なりの対処法に気づくことです。あなたの方法は他の誰かの方法と似ているかもしれませんが、詳細に見ていけば自分独自のものを持っているはずです。

そうした対処法に気が付くことができたら、それをやめるという選択をすることができるのです。上の方で書いた、恐れに立ち向かうというのは本当は違います。

立ち向かうのでも、逃れようとするのでも、無視をするのでも、そのどれでもなく、ただ恐れの中でじっと耳を澄ましていればいいのです。

このもっとも単純であまりにも何もしないということが、実は一番難しいと感じてしまうのは、我々の理性が物事を対処するようにできているからです。

決して理性を使わずに、ただただ、そこに居るだけでいいのです。恐れとリンクしているストーリーや言葉などをすべて脇に置いて、ただ入っていくことです。

そのとき、きっと恐れがどんなものなのか分かるはずです。それは驚くべき結果が提示されることになるのです。

そして、恐れの正体が分かると同時に、自分の本当の本質にも気づくことができるはずなのです。