今この瞬間の意識に注意を向ける

内面を見つめるというと、誰しも自分の感情や思いなどに意識を向けることをイメージしますね。例えば、昨日友人になぜあんな嫌味なことを自分は言ってしまったんだろうとか…。

パートナーにもっと優しく接することができたはずなのに、気が付くとまた辛く当たってしまった。その理由はなんだろうかとか…。

自分の心の奥を覗き込んで、今まで気づけなかった部分、知らずに隠してきてしまったような部分を見い出そうとするわけです。

大抵、セラピストはそれを勧めるはずです。なぜなら、人は自分にとって都合の悪い自分というものを隠したがる習性があるからです。

隠したものは、必ず日々の生活の中に何らかの形をもって表出してきてしまいます。都合の悪いものが出てくるのですから、苦悩することとなるわけです。

だからこそ、勇気を持って心の闇の中に隠してきたものに光を当てるようにとお伝えするわけです。それはそれで、癒しの王道ですね。

しかし、この内面を見つめるというのは、言ってみれば過去に光を当てる作業を指しているのです。なぜなら、心の中味というのは100%過去で出来ているからです。

これとは対照的に、今の自分を見つめるというやり方もあります。これは、心の中を見るのではなくて、ただただ今この瞬間の自分を見つめるのです。

一体それにどんなメリットがあるのかと疑問に思われるかもしれませんが、実はこれが究極の自己探求になりえるのです。

具体的には、自分の意識そのものに意識を向け続けるのです。それは、今この瞬間に意識を固定しておくことになり、過去からやってくる想念に巻き込まれずにすみます。

そして、その意識を見つめているうちに、個人としての自分というものが単なるイメージに過ぎないということに気づいていきます。

個人がいて、そこに意識が起こるのではなく、事実は意識がまずあってそこに個人というイメージが作られたに過ぎないということがわかります。

個人が後付けであると分かれば、もちろん自分は身体ではないということもはっきりします。こうしたことを思考で捉えるのではなく、ただ気づくことが大切なことです。

一度気づいたことを次に再体験しようとすると、思考が働いてしまう可能性があるため、いつも今この瞬間の自分だけに意識を向けることです。

そしてこの感覚を普段の生活の中で、いつでも感じ続けることができるようになったらいいなと思います。自分の感情や思いを見つめることも必要なくなってしまうはずです。