もしもすべての人が覚醒したら…

すべての動植物の中で、人間が最も進化した生物なのかどうかは知りませんが、少なくともこの地球上では人間だけが「私」という個人であるとの自覚を持っています。

もちろん人間の場合であっても、他の動物のように生まれてからしばらくの間は、「私」はありませんでした。ただ、生物としての反応をしながら生きていただけです。

それなのに、人間だけが次第に「私」という自覚が芽生えてくるのです。これほど、不思議なことは他にはないのではないでしょうか?

UFOに乗ってやってくる宇宙人がいるのなら、彼らもまた我々と同様に「私」という自覚があるのだろうと想定されます。

想定されるだけで、本当のところは分かりませんね。彼らが地球上の動物と同じか、あるいは覚醒している生き物であるなら、「私」はないからです。

仮に、私たちの全員が覚醒したとしたら、この世界はどうなるのかと考えてみたことがあるでしょうか?なかなか興味深いことになるのかもしれません。

例えば優秀な科学者が覚醒したら、科学の探求を突如やめてしまうとは思えません。「私」という我欲がなくなるだけで、そのままの研究は続くはずです。

また、芸術家の人たちだって、彼らの固有の芸術活動が終わってしまうということはないはずです。医学の進歩も停止してしまうということもないでしょう。

もっとも、我欲がなくなってしまうので、現在特に活躍している独裁国家のようなものは消滅してしまうと思われます。

それと、無駄な戦争、残虐な殺し合い、テロ行為なども影を潜めてしまうはずです。政治や経済の世界も大きく様変わりするでしょう。

けれども、ユートピアのような世界になるとは思いません。なぜなら、動植物の生態系は弱肉強食が存続するはずですし、私たちの目で見て残酷と感じるものであっても、自然の計らいとして残るからです。

病気や事故は減るかもしれませんが、根絶することは不可能であることは間違いありません。人の寿命もある程度までは延びるかもしれません。

それは、無用なストレスがきっとなくなるからですが、それでも無限に生きられるわけではないですね。生きているものにはいずれ死が訪れるのです。それは今と変わらないはずです。

そうやってイメージを膨らませると、そんな世界も悪くないなと思うのですが、残念なことにその世界に住んでいる個人が一人もいないのですから、変な感じですね。