そこにドラマを見るかどうか

先月とうとうスカイツリーがオープンしたそうですね。完成する前に、すぐ近くまで行って、全体を見たことがありました。

でもきっと、この先も当分はエレベーターで上まであがって景色を楽しむことはないだろうと思います。相当人気が高くて混雑するだろうし、また高額なんですよね。

高いところから、地上を見下ろせば走っているクルマがミニチュアカーのように見えるし、人間はほんの豆粒くらいになってしまうのでしょう。

そうなると、上からの眺めにおいては、実際に地上で何が起ころうと、何か平和な感じがするものです。ただあるがままに動いているというのか。

そして高度を少しずつ下げていくと、地上で起きている一つひとつの事象がもっとはっきり見えてきます。そうなると、そこには何らかのドラマのような面がうかがい知れるようになるのです。

たとえば、地上で交通事故が起きたとして、それをスカイツリーの展望所から見るだけだったら、ただ眼下で起きていることが見えているだけです。

けれども、地上にいてそれを身近に目撃したとしたら、それは恐ろしい光景として映るかもしれませんし、何かパニックのような様相を見て取れるかもしれません。

つまり、近くで見れば見るほど、ドラマ性が強くなるということです。私たちは、自分の人生をいつも最も近くで目撃しているので、それを物語として見てしまうのです。

物語になった途端に、起きている現象に対して必ず何らかの意味付けを行うことになります。意味があれば、そこには善悪や正不正、価値などの要素が付加されます。

そうして結果的には、幸不幸を感じるようになるということです。人の幸せや不幸というものは、物語がなければ存在しません。

つまり、起きていることを物語として解釈する代わりに、ただそのままに見るだけであれば、そこには幸不幸が発生することはないということです。

宇宙空間から地球全体を見れば、たとえ地上で殺戮が繰り返されていようと、地球はとても平和に見えることでしょうね。