理性の限界を理性が知る

人間には、未来を100%正確に予想することは不可能です。これは、どれほど科学が進歩発展してもそうなのです。

そのことは、「カオス理論」というもので明らかにされつつあるようです。カオス理論というのは、「バタフライ効果」とも呼ばれています。

それは、蝶々が羽ばたくと、その地球の反対側で台風が起こる、と言ったような例えで表現されるので、そういう呼ばれ方をするのです。

つまり、全体としては実に取るに足りないようなほんのちょっとした事が、後々まったく異なる未来を作り出すことになるということ。

これは、「初期値鋭敏性」という言い方がされているのですが、簡単に言えば、一番初めのほんの些細な違いによって、大きく結果が変わってしまう可能性があるということです。

仮に、無限に高速なコンピューターを誰かが開発したとして、そのコンピューターにあらゆるデータをインプットして、適切なアルゴリズムにより演算することで、結果を正確に出せるものとします。

ところが、私たちが初期値としてインプットするデータとは、観測によるものです。それはどれほど正確にしたところで、100%の精度というのは不可能なのです。

したがって、どこまで進歩したとしても、未来を予想することはできない、だから「カオス」だということなのですね。

私たちの科学が知覚を前提としているということが、残念なことに致命傷となっているということです。

やはり、この宇宙の正確な未来は神のみぞ知るということなのでしょう。でも人類が、自分たちの理性によって、理性の限界を理解するということはすばらしいことだと思います。