分離不安と全体性

何度も繰り返しお伝えしているとおり、私たちの本質は全体性であり、したがって生まれてからしばらくの間はその状態のまま生きているのです。

けれども、人間だけが3歳前後になると、親からの分離を意識するようになり、結果としてそこから個体としての自分に目覚めることになるのです。

その過程で感じる不安のことを分離不安と呼びます。全体から個体へとうまく自分を騙して推移できると、立派な個人への道が待っています。

しかし、本人の生まれ持った気質や、安心できない環境などの理由によって、分離を認められずに成長していくケースもあるのです。

つまり、分離すると錯覚することの恐怖が大きすぎて、それを認めることができないのですが、その奥ではやはりここに自分がいるという分離した個人でもあるのです。

この中途半端な状態が、その後の本人を苦しめることになります。心の中はどうなっているのかというと、全体性をどこかで忘れずにいて、それとは別に個人であり、かつそれを認めたくないという曖昧な状態なのです。

分離してしまっているということをどこかであきらめつつ、それはあまりにも恐ろしいのでそれを認めずにいるという葛藤です。

そのために、大人になってもフワフワとした精神状態が続き、場合によっては自分から抜けてしまっている状態、つまりグラウンディングができてない状態のままでいることもあります。

癒しの順序としては、まず忘れずにいる全体性の感覚を一度脇へ置いて、分離の恐怖をしっかり見ることです。そうやって、恐怖を小さくすることができれば、個人としての自分の居場所が明確になります。

その上で、忘れずにいたあの全体性の感覚をしっかりと思い出すことです。はっきりとした個人としての意識と全体性を同時に感じることで、人生の捉え方が大きく変化するはずです。

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