あなたの心を傷つけられるのは、あなたの心だけです

肉体が傷つくとしたら、それは勿論何らかの外的要因によってであることは明白です。身体がみずから、あるいは自然に傷つくなどということはありません。

それでは、心の場合はどうでしょうか?私たちは、心の場合も肉体と同様に外側からの何らかの刺激によって、傷つけられるのだと考えています。

例えば、誰かの心ない一言だとか、皮肉や、デリカシーのない言葉など、そういうのを言葉の暴力とも呼ぶわけですから、私たちはいくらでも他人によって心を傷つけられた経験があると信じています。

けれども、本当は違います。先に結論から言ってしまいますが、自分の心が自分以外の何かによって傷つけられるということは決してありません。

自分の心を傷つけるものは、自分の心以外にはないということです。このことを検証してみたいと思います。たとえば、ある言葉を100人の人に自分が言われた言葉として聞いてもらったとします。

結果は、深く傷ついたと感じる人もいれば、少しだけ傷ついたという人もいるでしょうし、あるいは何とも感じなかったと言う人だって出てくる可能性があるのです。

なぜこのように、受け取り手によって傷つくかどうかが決まるのかというと、その人の心の中にそれまでの過去がぎっしり詰まっていて、その過去と言葉を照らし合わせることで、傷つくかどうかをその人の心が判断しているからです。

心は、肉体のように外的要因から直接的に傷つくのではなく、外的要因をきっかけとして自らの過去の体験を基にして傷つくかどうかを自分が決めているということです。

そして、どんな心の人がより傷つきやすいかというと、それは自己防衛の程度に大きく比例するということです。つまり、より強く傷つきたくないと思っている人の心ほど、より深く傷つくことになるということです。

誰かの心を傷つけたくないとして、自己表現を抑えたり、気を使って疲れてしまうことが多いと感じているのなら、このことをしっかり思い出すことです。あなたが、直接誰かの心を傷つけることはできないのですから。

そして、あなた自身も誰かに心を傷つけられたと受け身で捉えようとしたときにも、この事実をはっきりと思い出すことです。あなたの心を傷つけられる誰かなど一人もいないのです。

あなたの心を傷つけられるのは、あなたの心以外にはありません。あなたがどれだけ、傷つきたくないと思っているかを、一度総点検してみるといいかもしれませんね。