「これって嘘だろう!」というあの感覚

それは、子供のときに頻繁にやってきたものでした。何か、夢から醒めたときのような感覚と言えばいいのか、自分の理性がおかしくなったわけではないのに、不思議を感じているのです。

記憶では、家の中にいるときよりも友達と遊んでいるときとか、誰かと一緒にいてふつうに過ごしているその瞬間に、突然それはやってきました。

どう説明すればいいのかも分からなかったので、そのことをリアルタイムで誰かに伝えたことはきっとなかったと思います。それは決していい気持ちではありませんでしたね。

どちらかというと、それまで体験していたことが中断されるような、すべてを疑ってかかるような感覚なのかもしれません。「これって…??」というような感じ。

それを明確に感じている時間は、とても短いというか、誰かがそばにいるので打ち消してしまうことで、すぐになくなってしまったのかもしれません。

そして、今までの流れの中に戻っていったのです。ちょうど動画を観ているときに、一時停止ボタンを押した時のように一瞬止まる感覚があるのですが、すぐに再生ボタンが押されるのです。

その瞬間は、必ずすべての音が消えてしまいます。正確に言えば、消えるというよりも音を聞かないモードに入ったというようなものかもしれません。

大人になってからもたまに、「自分がここにいるって何だろう?」とか、「この世界があるって何?」のような感覚になることがありました。

そして今では、あれほどに強いインパクトはないものの、実は自分で明示的にそれに近いものを感じることができるようになりました。

音はずっと聞こえていますが、音のない世界を同時に聞いています。この世界を見ていると同時に、この世界の存在を可能にする見えない土台を見ています。

そしてそれこそが、私たちの本質だったとはね。とはいうものの、ごくありふれた日常はもうしばらく続いていくのかもしれませんので、どちらも同時に楽しむことにしようと思います。