自己改善よりも自己受容

人は誰でも自分について、どこかしら不満を抱いているものです。それが、外面的なものであろうと、内面的なものであろうとです。

セッションで、自分の性格を直したいと訴えてくる方は結構多いのです。あるいは、今抱えている不自由さを少しでも直して、生活全般を改善したいと思っているのです。

そうした欲求がなければ、誰もセッションを受けになど来ないはずですね。ところが、この自分を何とかして改善したいという思いは、まさしくエゴのものだと言えるのです。

エゴとは、決して満足することのないマインドの性質なのです。いつも何等かの不満を抱えて、今日よりも明日、明日よりも明後日に何か変化があるかもしれないと期待しているのです。

つまり、エゴの「自分を改善したい」という欲望があるからこそ、このセラピストとしての仕事が成立するということになるのです。その意味で、エゴは私にとって必要なのです。

私は、エゴの欲求を用いて、クライアントさんの癒しをヘルプするのです。そうしたエゴの意欲をうまく利用することで、クライアントさんは癒しを継続してくれるからです。

けれども、どこかの時点で、自分を癒して改善していこうという思いこそが、エゴの中心的な欲望に違いないのだということをお知らせしなければならないのです。

この世界で唯一不要なものがエゴだからです。エゴを用いて癒しを進めている間はいいのですが、それはいずれは収束させていかなければならない運命にあるのです。

それがいつになるのかは、クライアントさんごとに違ってくるのでしょう。それは私が判断するようなものではなく、自動的にそのような流れがやってくるのです。

癒しの本質は、自己改善ではなくて、自己受容なのだということに気づくことなのです。それに気づいて、自分を徹底的に受け止めることができるようになれば、あなたは自分を観照することができるようになるのです。

それこそが真の癒しであり、真実に気づくことこそがあなたに与えられたこの生での役割なのです。