苦しみはない!

光明を得た人びとが共通して言ってきたことは、この世界に苦しみというものはないということです。表面的にはあたかもあるように見えるのですが、本質的にはないということです。

そのことの意味を探ってみようと思います。私たちが夜寝ている間に見る夢と、実際に生きているこの現実との違いとは何でしょうか?

勿論、夢は想像の産物であり、現実とは物理的な実在ですね。この違いに異議を唱える人はいないはずです。それでは、夢と現実に共通するものとは何でしょうか?

それはどちらも、思考によって判断解釈されたものであるということです。夢の中で、何者かに追われて、恐怖のあまり逃げ惑っているなら、それは非常に苦しいものです。

そして、朝目が覚めたときに、な~んだ夢だったのかと気づいて、その苦しみは消え去るのです。夢の中での苦しみは決してウソではないですし、目が覚めるまでは本人は本当にもがき苦しむのです。

この夢は、何から何まで思考によって作られたものですが、それが作り物だと気づくまでは苦しみはリアルなままなのです。それについて、本人を助ける方法はただ一つだけ、目を覚ましてあげることです。

一方、この物理的な現実においては、常に何かが現象として起き続けているのですが、私たちはそれを思考というフィルターを通してのみ、見ているのです。

自分という人物がここにいるという思考、そしてその自分にとって恐ろしいことが起きたという思考、この二つの組み合わせによって、私たちは苦しみを感じるのです。

何度も繰り返して言いたいのですが、思考自体が在るのは事実ですが、その思考の中身である現実についての解釈は事実ではありません。

自分は肉体だという解釈(思考)を停止するなら、自分に不都合なことが起きたという思考を停止するなら、そこにはどんな苦しみも存在しないのです。

あなたが夢から醒めたとき、そしてこの現実の中であなたが思考から脱出したとき、どちらであれ苦しみはそこにはないということです。