「すること」と「在ること」

この世界を見ると、二つの要素から成り立っていることに気づきます。それは、「すること」と「在ること」です。「すること」とは、あなたの言動であり、あなたのマインドによって支援されているものです。

一方、「在ること」は、あなたの実存を感じることであり、それはハートを通して感じられるものです。「すること」が動であるとするなら、「在ること」は不動であるとも言えます。

その両方が互いに補い合って、この世界は成立しているのです。あなたが何かを達成しようとするなら、それは「すること」に属することになりますね。

もしも、あなたが自分の存在価値にしっかりと気づかずに大人になってしまったとしたら、きっとあなたは「すること」ばかりに関心を向けることになるはずです。

なぜなら、存在価値の代わりになるものを探して、それを手に入れて何とか安心しようとするために、それは成果主義にならざるを得ないからです。

そのような場合、あなたは「在ること」の方に目を向けたことがないかもしれません。「在ること」、つまり自分の存在について見る眼が養われていないのです。

「在ること」に意識を向けるためには、瞑想が一番手っ取り早い方法です。「在ること」とは、人物としての自分を離れて、この世界の実存にハートを開くことです。

人物としてのあなたが、人生の中で何をしようと、どれほど闘って自己防衛をしようと、何かを達成して幸せになろうとしようが、その背後には常に「在ること」が広がっていることに気づけばいいのです。

「すること」は円の円周上をグルグルと回っていることだとするなら、円の中心こそが「在ること」なのです。この相補的な関係に気づくことです。

円周だけの人生では、何の深みもありませんし、決して満たされることがありません。あなたという人物は、常に円周上で活動しているのであって、それは本当のあなたではないのです。

不動の円の中心こそが、あなたの本質なのです。いつからでもいいので、円の中心の方向を見る練習を始めることです。「在ること」はあなたを静寂へと導いてくれるはずです。