否定せずに肯定する技術

昨年暮れのM1グランプリに初出場で決勝に進出した、「ぺこぱ」の漫才がとても秀逸で一人で大笑いしていました。

惜しくも優勝は逃したのですが、個人的には彼らに優勝させてあげたかった。彼らの新しいボケのカタチ、「のり突っ込まない」というボケが素晴らしい。

相方にどんなことを突っ込まれたところで、それを100%の肯定で受け止めるというほとんど天才的な返しなのです。

たとえば、相方の動作が少しスベってしまったときに、「いやスベったみたいな空気になってるけど、空気がなければ俺たちは生きていけない!」みたいな感じ。

タクシーを待っていて、タクシー役の相方に身体ごとぶつけられて、「イテ〜な、どこ見て運転してんだよって言えてる時点で無事でよかった!」とか。

「もう誰かのせいにするのはやめよう!」的なことも言っていました。お笑いなのに、的を射ていて素晴らしいのです。

一般的には、相手の不備を指摘してそれを否定することで場を盛り上げるのですが、否定する代わりにとにかく肯定に持ち込むのです。

自我というのは、残念ながら肯定するよりも否定することに興味があるのです。それは、ゴシップニュースなどを見ていれば分かります。

誰かが結婚したといっためでたいことよりも、不倫したとか不正を犯したといったニュースの方が長持ちするのですから。

他人の幸せよりも不幸話しの方が都合がいいのです。それが防衛から来ているのは明らかです。

もしも私たちがとにかく否定をする代わりに肯定するなら、そしてそれをお笑いに持っていけるなら、世界から争い事が消えていくような気がしますね。