死を敬遠せずに生きる

人間だけなんですね、自分がいつかは死ぬということを知りつつ生きているのは。他の動物にはそんな自覚はありません。

それなのに、普段は死についてはほとんど考えようとせず、脇に置いたまま生活しているのです。死ぬのはいつも自分以外の誰かだからでもあります。

それに社会の通例として、死について口に出すことはあまり好ましいことではないので、何となくはばかれるという感覚を私たちは持っています。

墓地が街のはずれにありがちなのも、普段は忘れていたいからなのかもしれませんね。お墓が家の隣にあったら、本当は便利なはずですが。

実は死というのは不吉なことではなく、逆に死をどう受け止めるかによって、本人の生き方や在り方にとても大きな影響を与えるのです。

きっと死がなければ、この世界に宗教というものはなかったのだろうと思うのです。どう生きるかは、死がやってくることが前提としてあるから大切な問いとなるのです。

そうは言っても私自身も、もっと若い頃はほとんど死を考えることもありませんでしたが、歳を重ねることで死に近づくのでそちらに自然と意識が向くようになったのです。

もしも時間があって手持ち無沙汰だなと思う時があったら、自分が死にゆく状況を想定しつつ、瞑想してみるのもいいかもしれません。

死が身近にある人は、きっと意識的であるのがより容易になるのではないかと感じています。