人は天使にはなれない

ずっと以前の辛島美登里の曲で、サイレント・イヴというのがありました。その歌の二番のデダシのところに、以下のような歌詞があるんです。

本当は誰もが やさしくなりたい

それでも 天使に人はなれないから…

そんなこと当たり前じゃないのと思っていたのですが、意外にもこれを地で生きている人って多いんだなと思うようになりました。

つまり、私から言わせると、あなたは本当に天使でありたいと思ってるんじゃないの?と突っ込みを入れたくなるわけです。

自分は、自分だけはそんな醜い考えや、人でなしな感情など、持っているはずがないと思いたい気持ちが満々なのでしょう。

人は、美しい心も醜い心も当然のごとく持っているはずなのに、どうしても自分のこととなるとそれを認めたくないという頑固さ。

いつも人にやさしい気持ちで向き合っていたいと思うのは勝手ですが、私に言わせればそれができるのなら、それは人間じゃなくて天使だと言いたいのです。

この世界はすべて相反するもの同士が一対となって、現象を実現しているのですから、美しさがあれば必ず醜さがあるのです。

下のない上とか、右のない左を神は創れなかったのです。醜さのない美しさを創れなくても当然だということにしっかりと気づかねばなりません。

美しいのも醜いのも、人としての自分の本性なのです。その一対はとても神にとっても重要なものなのです。美しさだけなら、この世界は消えてしまいます。

それを何とかしようとすればするほど、人は苦悩の中に絡めとられてしまうでしょうね。何ともしないということ、これ以外にはありません。