防衛システムを緩める方法

私たちが日夜使い続けているエゴの防衛システムは、自分の命を守ることを唯一の目的としているのです。そのことを忘れてはなりません。

つまり、死の恐怖から逃れるための防衛システムなのです。なぜこんな分かりきったことを、あらためて確認する必要があるのかというお話しをします。

私たちは通常、大きな怪我や病気などによってしか、死ぬことはありませんね。勿論一番穏やかな老衰による死もありますが。

つまり何が言いたいのかというと、日々の生活の多くの場面において、自分の死を意識しなければならないような事態というのは、そうそう来るものではないということです。

このことは、この時代の日本という国に生まれたことを本当に感謝しなければならないと思います。地球上には、今この瞬間にも常に死と隣り合わせの生活を余儀なくさせられている人々が沢山いるからです。

私たちは幸運なのです。自分の死は、遠いところにまだあると信じて生きているのです。けれども、それだったらなぜ自分の命を守るための防衛システムを使い続けなければならないのでしょうか?

たとえば、幼いころから自己表現を抑える癖ができてしまった人がいるとします。そういう人に、自己表現、感情表現をして下さいとお願いしても、簡単には聞き入れてくれません。

本人としても、なぜそれほどまでに頑なに自己表現を抑えてしまうのか、分からないのです。そこには、隠されたカラクリがあるのです。

幼いころに作り上げた自己表現を抑えるという行動は、実はその当時の自分の命を守るためのエゴの防衛システムだったのです。

命がけの行動というのは、そう簡単には解除することはできなくて当然です。もしかしたら、自分の言いたいことをいうと、周りの大人に否定されて、嫌われて、見捨てられて、生きていけないという恐怖を感じたのかもしれません。

そうやって、死の恐怖から自分を守るための防衛システムができあがるのです。問題は、幼い自分のために作った防衛システムを、大人になっても使い続けてしまっているということです。

そのことに気づくことができれば、そこからゆっくりとその防衛システムを使わないでいるという選択肢があることに気づくはずです。

そうすれば、決して死ぬようなことはないことに対してまでも、エゴの防衛システムを稼動させるようなことはなくなるはずなのです。