人生は負けるが勝ち

どんな人であろうとも、幼いころには自分の無力感、あるいは情けなくてダメだという気持ちを味わっているのです。その惨めな気持ちを何とかしようとするのは、当然のことかもしれません。

そして、成長とともにそのことは心の奥のほうにしまって、ダメじゃない自分、惨めに親や周りの人たちにコントロールされる自分から脱却しようと頑張るのです。

そうやって、飽くなき自己防衛の努力が始まるのです。その方法は、人それぞれですが、どんなやり方であろうと適度なうちはいいのですが、過度にやり過ぎてしまうと人生を蝕む結果となるのです。

自分は無力ではないということを証明しようとすればするほど、例えば自分と誰かを比べて決して負けないと心に誓うかもしれません。勝負に勝つことは、強い自分の証明になるからです。

そうなると、大人の理性では勝つこともあるだろうし、負けることだってあることは分かっているのですが、インナーチャイルドの部分が負けを認めさせてくれないのです。

したがって、本人の感覚としてはいつまでたっても、自分は誰にも負けてはいないという誤った認識で生活していくことになってしまうのです。そうやって、安心しようとするわけです。

けれども、本心では負けてしまっていることも気づいているので、自分が他人に負ける可能性のない世界へと逃亡しようとするのです。だから、独りでいるときが一番心休まるわけです。

人と関わればそれだけ、必ず自分の負けを認めなければならないことがやってくるからです。あるいは、何か新しいことにチャレンジしようとすれば、また負ける可能性が出てくるので、いつまでたっても船出しないでいるということが起きるのです。

人から評価されるような立場は危険だということになってしまうのです。自分は、誰の助けも借りずに生きていけると思い込むのも、負けを認めない防衛心から起きてきます。

負けるが勝ちという言葉があるように、心から負けを認める勇気があれば、その時初めてその人は心休まる思いを経験することができるのです。

それまでは、いつも負けてはならないと気を張って生きていかねばならないのです。そんな疲れる人生から、さよならするためにも「負け」ることを実践してみて下さい。

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