誰もが名俳優

アルパチーノ主役の、「セントオブウーマン」という映画があるのですが、その中で彼は盲目の退役軍人の役柄を好演しています。大好きな映画で、つい最近もまた見てしまいました。

真偽のほどは定かではないのですが、彼はその役作りに没頭するあまりに、実際に目が見えなくなったという噂が立ったほどです。

役者さんは、演技中に自分が演技をしているということを忘れることは、常識で考えればないはずですが、すばらしい役者さんともなれば、ある程度は自分のことも騙すということかもしれません。

だから、その台本の中で本当に泣いたり怒ったり絶望したりもできるわけです。名演技の裏には、必ず自分のことも上手に騙すという能力が隠されているということです。

ところで、そういう役者さんと比べたら、私たち一人ひとりの人間というのは、最高の名演技者だと断言できますね。なぜなら、自分の人生というドラマに本当に没頭しているのですから。

自分を一人の人物であるというように自分を欺き、それを心から信じることで死ぬまで人生を演技し続けているのですから。その逆に、自分の本当の正体、自分の本質に気づいてしまったらどうなるでしょうか?

それは勿論、大根役者になるということです。なぜなら、大根役者は、役になりきれずに周りにいるスタッフや監督にどう見られているのかを気にして演技するわけですから、それと同じになるのです。

私たちが自分の本当の本当の正体、真実に気づいたならば、それ以降は一人の人物として人生を生きるという演技だけに100%集中することができなくなるのです。

自分を欺いている自我に気づいてしまうのですから、自我は真の自己ではないと気づけば、役柄を名演している自分をやさしく見守ることもできるようになりますね。

もうそろそろ目を覚ましましょう。あなたは、この世界であなたの人生を生きている一人の人物ではありません。そういうふりをして、演じているのです。

気づいても、人生という物語は台本通り進んでいくのですが、それでも人生でのスタンスが根本的に変わってしまうはずです。なによりも、深刻ぶっていたそれまでの自分を面白がることができるようになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です