「慣れる」ことの罠

自我の能力の一つとして、「慣れる」というのがあります。同じことを繰り返しているうちに、次第にそのことに慣れてくるのです。

慣れてしまうと、私たちはそれについて非常に安易にやり遂げることができるようになる、いわゆる朝飯前状態になるのです。

そのおかげで、さらに難易度の高いものへと挑戦をしていくことができるのです。それが自我の大好きな成長することなのです。

ところが慣れることで、自動的に無意識的になっていくという面があるのです。なぜなら、しっかりと注意していなくてもできてしまうからです。

意識的であり続けることが私たちにとってこれほど難しいのは、この「慣れ」という現象があるのも事実なのです。

また、ひとたび慣れてしまうと感動が薄くなっていくということもあるのです。それが当たり前になってしまうので、喜びや驚きが消えていくのです。

当然感謝の気持ちも薄らいでいくでしょうね。当たり前というのは有難いというのと正反対だからです。

何を手に入れたとしても、すぐに満足が消えていってしまうのもこの「慣れる」というのが原因なのです。

慣れることがやって来なければ、最初の喜びや感動や感謝がずっと続くし、いつまでも新鮮でいられるはずなのです。

逆に言えば、慣れることの罠から抜け出すためにも、できる限り注意深く意識的であるように練習することが必要なのだろうなと思うのです。