要点を見抜く

人は自分がこれまでに投資してきたものを、簡単には諦めきれないのです。努力が無駄になる時、その努力が大きければそれだけ受け入れ難くなるものです。

10年、20年、あるいは30年以上もの長い間、自分をなんとかして守ろうと死に物狂いで頑張ってきた人がいたとします。

その人がセッションの中で、自分のことを何も知らない赤の他人のセラピストから、あなたのこれまでの努力はすべて間違いでしたと告げられたとしたら…。

にわかには信じたくないし、あまりのショックに怒りが湧いてきても不思議ではありませんし、絶望するかもしれません。

けれどもそれがセラピストの仕事なのです。クライアントさんがセラピストの言葉を素直に受け入れることは稀かもしれません。

要点を見抜いて、「よし、間違っていたので落とす。私のこれまでの生き方は誤りだったので新しくやり直す」と言える人がどれだけいるか。

実はごく稀にですが、それができる人がいるのです。たった一回のセッションを受けただけで、パラダイムチェンジしてしまうのです。

そういう人たちは、きっともうすでに自らの中にそれと気づかぬうちに準備ができていて、ちょっと背中を押されただけで視界が開けてくるのでしょうね。