アイデンティティに構うな

社会で生活する私たちにとって、自分のアイデンティティを確立することは非常に大切なこととなっています。

アイデンティティとは、たくさんの人々の中で自分の存在をしっかり識別できるものという意味です。

要するに、他人と比べて何か際立ったものを持つことで、大勢の中で埋もれてしまわずに済むものが必要ということです。

なぜなら、自我というのは元々が他人から認識されることで生まれたものだからです。自分独りでは成立しないものなのです。

子供の頃はまだナニモノにもなっていないので、成長するにつれてナニモノかになろうと努力するわけです。

男性の場合には、社会全体から認めてもらえるように頑張るのですが、女性の場合にはごく身近な誰かから認めてもらえればいいのです。

この社会が男性性によって作られ、維持されているからなのでしょうね。男性性は世界一を目指し、女性性は愛する人からの愛があれば足りるのです。

男性だろうが女性だろうが、アイデンティティを必要とする本当の理由は、自分とは一体誰なのか?という切実な疑問を持っているからなのです。

自分の存在が何なのかが分からずにいるため、自分の外側から代わりになるものをもらって、安心しようとしているのです。

もしも本当に自分とは何か?を探究しようとするのであれば、外側からもらったアイデンティティに満足せずに、内側の内奥を見続けるしかありません。

もちろん内側にはアイデンティティなどというものは存在せず、代わりに全体性という表現不可能な何かを見出すことになるはずです。