見切り発車の勧め

楽器を習ったことのある人なら誰でも、基本をしっかり身に着けることが大事だということは知っていますね。これは、楽器に限らずスポーツにしても、どんなジャンルのものについても言えることです。

けれども、私が高校生の頃にギターを弾き出したとき、ドレミファの音階もろくには知らずに弾いていました。あのバンドのあの曲の中のあのフレーズを弾けるようになりたい、そういう一心だったと思います。

思い返すと、小6のときに初めてテレビで見た衝撃のバンド、一体彼らが何者なのかも分からないままに画面に釘付けになったのをはっきり覚えています。

数年後に知ったのですが、彼らが何を隠そう、レッド・ツェッペリンだったのです。といっても、何十年も前のバンドのことですから、このブログを読んで下さっている人の中の何人が知っているでしょうか?

小学生の自分が衝撃を受けたあの曲は、彼らのデビューアルバムの中に収められていた「コミュニケーション・ブレークダウン」という曲でした。

そして、高校生になったときに買った彼らの4枚目のアルバムに含まれていた、「天国への階段」という曲のリードギターのパートをどうしても弾きたくて、練習を始めたのでした。

本当にドレミファも知らないままに、ただただコピーしていたのです。ギターが好きな人だったら、似たような経験をしている人も多いのではないでしょうか?

ちょうどそのころ、高2だったかな、彼らは今は幻のコンサートと言われる、武道館でのコンサートをやってくれたのです。自家用ジェットでやってきて、演奏をして、あっという間にジェットで本国へ帰っていきました。

そのコンサートに行くために、初めてジーパンを買ったのを覚えています。今では考えられないことですね。そのジーパンを履いて出向いたコンサートでの一曲目は、確か大ヒットした「移民の歌」だったと思います。

ギターに話しを戻すと、上達するにつれて、いろいろな曲を弾けるようになりたくて、そこで壁にぶつかるのですね。そうなって初めて、基本を学んでみようと思い立つのです。それでいいのだと思うのです。

人生も同じかなと。堅苦しいと感じるルールも、とても役に立つときがありますので、全面否定する必要はありません。けれども、あなたがやってみたいと思うこととあなたの間には、何のルールも横たわってはいません。

ただ、やり始めればいいだけです。やり出してから必要に応じてルールを使うなり、微調整していけばいいのですから。何事も堅苦しく考えずに、乗り出すことですね。

私が、セラピストとして始めたときも、本当に何にも考えていませんでした。完全なる見切り発車です。でも、もうそろそろ丸12年が経とうとしていますが、いまだにこうしてセッションを続けています。

何かをやりたいという純粋な気持ちの奥にあるエネルギーの強烈さを信頼して、とにかく突き進むことです。そのことが、道が開ける最善の方法なのだと思います。