自己啓発セミナーへの魅力

クライアントさんとお話しをしていると、時々「自己啓発セミナー」の類の話題が出ることがあります。私自身は、そうしたセミナーの経験がないのですが、意外に広く普及しているもののようですね。

体験もないのに決めつけるようで、若干気が引けるのですが、私はきっとこの先も自己啓発のような、自分をもっと成長させるとか、より高次の意識になるなどのことには興味を持たないと思っています。

自己啓発セミナーに何らかの魅力を感じて、参加してみようと思う気持ちは、十分に理解することができます。私自身も、自分の能力を十分に発揮することができていないという悩みを持っていたこともあるからです。

けれども、もしも今あなたがあなた自身やあなたを取り巻く環境、あるいはあなたの人生に対して何がしかの不満を抱いているとしたら、それは、これまでのあなたの生き方そのものに原因を見出す必要があるのです。

これまでの人生をより改善しようとするのであれば、あなたが魅力を感じたセミナーに参加するのは考えものです。なぜなら、あなたの人生の路線を変えようとして、その路線の延長線上のセミナーに参加しようとするようなものだからです。

そうでなければ、そのセミナーに魅力を感じることはなかったはずだからです。つまり、これまでのあなたの生き方、あるいは考え方を軸として、その先にそうしたセミナーが用意されているのです。

なるほど、セミナーによって一時的にやる気が出たり、テンションが上がって以前よりももっと前向きに人生を生きようとし出すかもしれません。

あなたの埋もれた可能性を引き出すチャンスに、今まで以上に気づくことができるかもしれません。けれども、少しもあなたの路線は変わってはいないのです。

それなら、人生はこれまでと全く同じように推移していくことになるはずです。しっかりと気づかねばならないことは、今のあなたを築いてきたのは、あなた自身の生き方やあなたが親や社会から植えつけられた信念や信条なのです。

自分の心の奥の小さな声に耳を澄ましてみることです。そうすると、それまでは気づけなかったあなたの本当の気持ちや、正直な声を聞くことができるはずです。

その声は、ただただ自分のままでいたい、誰が何と言おうと自分自身でいたいと訴えているはずなのです。人は、誰かにしつらえてもらったニセの自分を生きるのは、まっぴらごめんなのです。

立ち止まって、ゆっくりとそのことを噛みしめてみることです。それ以外に、あなたが満たされた生を生きていくことはできないのですから。