セラピストは意地悪

もしもあなたが、自分の今の人生はうまく行っているなあと思うのなら、それは自我(エゴ)が正常に機能している証拠だと思って間違いありません。

順風満帆のときは、自我の独り舞台だということです。その時には、幸せな気分でいられるかもしれませんが、大切なことへの気づきからは遠ざかっています。

けれども、どうも自分の人生には問題が発生していて、不自由な状態になってしまったと思っているのでしたら、幸せは遠のいたかもしれませんが、大切な気づきのチャンスが到来しつつあるということです。

そして、場合によっては自分独りでは解決できそうもないと分かって、セッションを受けににいらっしゃるクライアントさんもいるわけです。

そんなクライアントさんに対して、私は意地悪くも更なる追い討ちをかけるのです。つまり、もうすでに困ってしまって人生に手こずっているクライアントさんが、より困惑するように仕向けるのです。

それがセラピストの仕事だからです。セッションは、場合によっては痛みを伴うものなのです。それは、クライアントさんが無自覚に隠してきた都合の悪い自分に目を向けてもらう必要があるからです。

クライアントさんが混乱すればするほど、そこにチャンスがあるのがよく分かるのです。だからセラピストはある種、憎たらしい人種だと思って間違いありません。

その混乱の中で、少しずつ何かに気づいていく可能性が広がっていくのです。同じ日にセッションにいらした複数のクライアントさんたちは、不思議なことに互いに似たようなエネルギーの持ち主である場合が少なくありません。

ところが、セッションの結果は真反対になることもあるのです。一人は、心を頑なに閉ざして鉄壁のガードを堅持し、もうお一人はヨレヨレになるくらいに感情と向き合うというように…。

そうした違いは、クライアントさん自身のその時の心構えや時期などが微妙に影響するのでしょうね。それ以外の要因は、神のみぞ知るということかもしれません。

セラピストは誠実な意地悪だということを、覚えておいて下さいね。