記憶を使わずにいる練習が役に立つ

認知症になった母親が時々、自分はどうしたらいいか分からない、と訴えてきます。本当に困っているのが伝わってきます。

通常はもっと具体的な心配事、例えば明日の朝食のことや何時に起きればいいのかなどを訴えてくるのですが、どうしたらいい?という訴えにはこちらも言葉に詰まってしまいます。

母の内面がどのような状態になっているのか察しがつくのですが、それをどう説明すればいいのかが分からないのです。

自分は誰で一体どこにいるのか、そうした最も根本的なことを忘れてしまった時に、そのような訴えがやってくるのですね。

このような状態というのは、意識的に作り出すことができるのですが、ただいきなりは難しいはずです。

日頃から練習をしておく必要があります。瞑想によって思考を止めるか、あるいは記憶を使わずにいる練習をすれば同じような状態になれるのです。

母親が心底困ってしまうのは、認知症になるまでこのような体験をしたことがなかったからなのだろうと思うのです。

高齢になる前から、記憶を使わずにいることで自分が何者でどこにいるのかが全く分からなくなる経験をしておくことです。

そうすれば将来自分が認知症になったとしても、困ることがないのではないかと踏んでいます。