必ず残っている正気の部分

老人ホームに入居している母親のところに、娘が一緒に面会に行ってくれたのですが、普段は娘の名前を聞いてもなかなか思い出せなかったのに、娘の顔を見て母親の表情がパーっと明るくなったのです。

娘の名前を呼びながら、いっとき認知症が全快したかのような感じで正気に戻った感じがしたのでびっくりしました。

いつものように私が母親の脚のマッサージをしつつ、一方では同時に整体師の経験がある娘が肩のあたりをマッサージしたのです。

息子と孫に同時に身体をほぐしてもらって、贅沢だねえと声をかけると、本当に気持ちがいいといって喜んでくれたのです。

さすがに母親なりに娘には気を遣って、疲れるからもういいよと何度か言っていたのですが、私はその言葉をかけてもらったことがないなあと。

私が面会に行っても普段はそれほど喜ぶ表情を見せない母親なのに、やはり孫の存在は格別なんだろうなと。こればかりはかなわない。

それでも、母親の中にまだしっかりと残っている正気の部分を見ることができて、ありがたかったです。

誰の心の中にも、必ずその部分が残っているに違いないと思うのですが、それを引き出してあげることが難しいのでしょうね。

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