すべての物語を越える

人の人生はそれぞれ違っていていいのですけれど、それでも何の目的もなくただ毎日を漫然と過ごすよりは、なんでもいいので大きな目標なり、目的のようなものがあった方がハリがあっていいと思うのです。

私自身がほとんど、人生に目標らしきものを持ったことが一度もなかったので、その生き方はつまらないということを身に染みてよく知っているのです。

ですから、特に若い方には目標を持ったほうがいいと思う、くらいのことは言うのです。実績のない自分の言葉なので、あまり説得力がないのは感じているのですが…。

またその一方で、今どうあるかに注意を向けて下さい、ともお伝えするのです。その両方を言われた人は、きっと矛盾を感じてしまうのかもしれませんね。

けれども、それは決して矛盾しないのです。目標を持つというのは、人物として人生という物語を生きる人に向けての言葉であり、今に注意を向けるのは、その物語から抜けて本質に気づくためだからです。

生きる目的はどんなものでも構いません。たくさんお金を稼ぐことであっても、活躍して有名な人になるということでも、はたまた神のお告げに従って人類を救うということでもいいのです。

10年以上前にセッションを受けに来てくれていた中学生の男の子がいたのですが、彼はヒプノの中で数億年前の地球における戦いを仕切っていた過去世を思い出して、罪悪感に呻いていました。

私もそのセッション中に彼と同じイメージを見せられて、壮絶な戦いに驚いたことがありました。どんなに壮大なスケールのことであっても、それも一つの物語に違いありません。

物語に嵌る自分に問題はないのですが、それが100%になってしまうと真実を見失ってしまうのです。それでは、生まれてきた甲斐がありません。

物語の中で活躍する自分を、たった今距離ゼロの内側から見つめることで、私たちの本質に気づくこと。それこそが、すべての物語を越えた本来の目的だと思うからです。