不幸への条件付けに気づく

私たちは、幼いころに病気などで具合が悪くなったりすると、親や周りの人たちがいつもより優しく接してくれるということを知っています。

私は風邪で熱を出して寝ていると、バナナを食べさせてもらえるのでした。あの頃は、今と違ってバナナはそこそこの高価な食べ物だったので、嬉しかったのを覚えています。

日頃満たされない思いを持ちつつ生活をしていて、病気になるといい思いができるということを何度も経験してしまうと、潜在意識が病気を作るということが起きたりします。

それは、疾病利得という言葉で言われることなのですが、病気になった方が健康な時よりもご利益があるということです。そのご利益を得ようとして、本人の自覚がないままに病気になったりすることが起きるのです。

またその逆に、自分がものすごくうれしいことがあったりして、有頂天になっていたりすると、今度は親や周りの人たちから冷たい態度を取られたりということもありますね。

簡単に言ってしまえば、それは嫉妬だったり、やっかむ気持ちから辛く当たられてしまうということです。つまり、人は苦しめば優しくされ、喜べば冷たくされるという経験を繰り返しすることになるのです。

そうした経験がたび重なることによって、私たちは表面的には幸せになりたいと願いつつも、心の奥では安心したくて苦しむ方を選択してしますのです。

苦しんだ分だけ、人からサポートを受けられるし、親切に扱われるということを知っているからです。人から無視されたり、ひどく否定されることで傷つきたくないのです。

だからこそ、私たちのベースは不幸なのです。残念ながら、これは子供のときの体験から得た知恵でもあるのです。自分を守るためには、不幸でいる必要があるという思い込みが作られてしまうのです。

こうしたことが世代を越えて、この世界にずっと引き継がれてきてしまったのです。私たち一人ひとりが、心の中にこうした条件付けを自ら植えつけてしまったことを認識する必要があるのです。

そして、甘い言葉を言って近寄ってくる人や、あなたを気持ちよくさせてくれる人を相手にする代わりに、あなたが喜んでいるときにこそ、心の底から一緒に喜んでくれる人と共に生きることです。