静かに満たされる

今日仕事を終えて、すっかり暗くなった街を歩いているときに、不意に自分が何歳なのかが全く分からないというのがやってきました。

よ〜く感じてみると、子供のようでもあり、大人のようでもあり、また老人のようでもあるのですが、本当はどれも当てはまらない感じもするのです。

鏡を見れば自分の姿をまるで他人のように見ることはできるのですが、街を歩いている時には顔がないのです。

自分の肉眼を通さずとも、周囲のものが全て見えるだけでなく、その全てが対象物ではなくなってしまうのです。

自分の顔、頭がない時には他もなくなって、自他が消えてしまいます。無理やり自己イメージを手繰り寄せれば、そこには何らかの人物像が浮かぶのです。

けれども、もうそれはそぐわない感じがするのです。これを書いている今この瞬間も、その感覚がありありとあるのです。

それはずっと在ってなくなったことはないのですが、それに気づかなくなっていただけだということもはっきりしています。

自分は誰でもないし、何でもないという、とても静かなこの感覚の中にいるだけで、どんな理由もなしに深く満たされた状態になるのも不思議です。

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