安上がりな老人

朝いつもの道路を走って、スポーツクラブへ向かう途中、運転しながらも腹式呼吸を続けていると、手や顔やそのほかの感覚が変化してきます。

おお、いい調子と思っていると、普段はほとんどないような邪魔が入って、道路の真ん中で立ち往生させられて、ようやく解放されたと思ったら、感覚が普通の状態に戻ってしまっていました。

最近はこんなことの繰り返しが続いているようです。単なる気のせいなのか、あるいは偶然でしかないのか、本当のところはよく分からないのですが…。

気を取り直して、サウナの中では完全に瞑想状態になっていると、やはりそれを邪魔する事態が起きてくるのです。

邪魔が入れば、今やっていることが間違ってないということの証明にはなるので、それはありがたいことなのです。

けれども、自分の中に一体どんな奴がいるのかが少し恐ろしくなってきます。こちらが攻めた分だけ、相手の反撃も大きくなります。

自分は一人で何をやっているのだろうと。昨夜のこと、いつものように目が覚めたのですが、感覚が違うのです。

目覚めた瞬間、カッと目を見開いて真っ暗な中を見つめたままでいるのです。変なことになっているなと思っていると、しばらくして暗闇に目が慣れて部屋の景色が見えてきました。

後で冷静になってそのことを思い返した時に、普段夜中に目が覚めて真っ暗だったことなどないのです。寝ている間には、瞳孔が開いているはずだからですね。

でも昨夜は目が開いた時には、本当に真っ暗で何も見えませんでした。目を見開いたまま、何も見えないという経験をさせられたのですね。

怖くはないのですが、これを覚えておきなさい!と誰かに言われた気がするのです。希望的観測ですが、今未来の自分の姿が少し見えたような気がします。

それによると、お酒も飲んでない全くのシラフの状態なのに、ちょっと酔っ払っているような感覚で毎日生きている、そんな老人のイメージが見えました。水だけあればいいなら、とても安上がりですね。