地球上のあらゆる生物は、私たち人間も含めてその全てが遺伝子をコピーすることで種を存続してきたわけです。
爪の形から、咳払いの声だったり、その他あらゆる特徴が遺伝子によって受け継がれてきたのです。ただし、例外もあります。
それが自我です。自我を形成する遺伝子というものはきっと永遠に見つからないと思っています。それだけ、自我は環境によって作り出されるものだからです。
赤ちゃんが産まれてくる時、両親の遺伝子を半分ずつコピーした状態でやってくるのです。そして、その遺伝子の中身は死ぬまで変わりません。
けれども、自我については全くの白紙状態なのです。その証拠に、オオカミに育てられた少年少女には、自我がありませんでした。
自我を作り、育んでいくのは赤ちゃんの周囲の状況なのです。どんな自我を持った親が近くにいて、どのように接してもらったか、それが赤ちゃんの自我を決定するのです。
もちろん自我の生成に遺伝子の何かが影響を与えるということはあり得ると思いますが、それはあくまでも傾向を決めるものでしかないと思っています。
あなたがどんな自我として生きているのか、そのことに対して1ミリもあなたの責任はないということです。
あなたにどんな自我を作るかの決定権はありませんでした。知らぬ間に、環境があなたという自我を作り上げてしまったのですから。
もしもあなたが、自分の自我を好きでないとか、この自我から離れたいと願っているのでしたら、一つ方法はあります。
それは、自我を見守り続けるという練習をしていくことです。見ることによって、対象物との間に距離が作られるからです。
そして自分は自我ではないという明確な感覚が、あなたを本当の意味で助けることになるでしょうね。