コントロールしようとすることと、ただ反応することの違い

少し前に、YouTube で見つけた動画で、とても可愛らしいものがあったのですが、それは、ラブラドル・リトリバーのような大きな犬と、やっとお座りができるようになったくらいの赤ちゃんが、何やら取り合いをしているのです。

よく見ると、犬がボールのような入れ物に入った餌を食べているのですが、そばにいる赤ちゃんがそのボールを自分のほうに引き寄せるのです。

そうすると、犬はそのボールを手で引き寄せて、また餌を食べだすのですが、そのうちまた赤ちゃんがそれを奪い返すのです。

結局、数分間の動画なのですが、そのボールの奪い合いを両者で何度も何度も何度も延々と繰り返すのです。

見ていた私は、犬がそのうちウ~と唸って怒りだすのではないかとちょっと心配になったのですが、そんなことは全く無く、とにかく犬としては奪われた餌をただただ取り返すという反応をしたのでした。

もしも自分が犬の立場だったとしたら、「おい、いい加減にしろよ!」と言いたくなったはずです。でも犬は淡々と奪い返すだけで、赤ちゃんに対しては何も感じていないようなのです。

この犬の行動は、言ってみればただ自分の餌をちょっと遠くに持っていかれたので、食べるために自分の口の届くところへと、持ってくるという反応をしただけだったのですね。

これが、起きていることにただ反応するということです。けれども、私たちは大抵起きていることを「自分を守るためには」という視点で解釈してしまうために、その出来事を何とかコントロールしようとしてしまうのです。

その結果、必要以上の怒りが湧いて来たり、後々までそのことを引きずってしまって、もっとこうしてやればよかったとか、今度は仕返ししてやろうなどといったことを考えたりしてしまうのです。

思考は、ただ起きていることをとにかく都合よく「解釈」してしまうので、不必要な自己防衛のためにエネルギーを浪費してしまうのです。

起きていることに対して、コントロールしようとしているのか、ただそれに反応しているだけなのか、いつも正直に自分を見てみることがとても役に立つはずです。

ただ反応するということが習慣として身につけば、私たちはもっともっと気楽に、そして自由な人生を生きることができるのだろうと思います。