所有物を傷つけられるトラウマ

中学1年か2年生の頃のことですが、ボサノバというジャンルの女性ボーカルのLPレコードを買ったことがあったのです。

今ではそれが誰の歌だったのかが全く思い出せないままなのですが、とにかく物凄く気に入っていて毎日のように聞いていたのです。

するとある日、隣の部屋にいる姉が貸して欲しいと言ってきたので、あまり乗り気ではなかったのですが、しばらく貸してあげることにしたのです。

その後少し催促して無事返してもらったのですが、さあ聞こうと思ってジャケットからレコード盤を取り出したところ、あり得ない情景が目に飛び込んできました。

瞬間的に目頭が熱くなってきたのを覚えています。非常に残念なことに、大事に大事に扱ってきたレコードの表面が爪か何かでズタズタに傷つけられた跡があったのです。

まさかと思ってターンテーブルに置いて、曲を聞いてみるとなんということか、やはりその傷によるものか音飛びが発生してしまっていたのです。

実はそれ以来一度もそのレコードを目にすることはありませんでしたし、もちろんお気に入りだった曲も聴くことはありませんでした。

当然のこと姉のことを責め立てたのですが、一切反省の色を感じることはなかったのです。自分は知らないの一点張り。おまけにそのくらいはいいだろうと。

どれほど悔しい思いをしたことか、姉には全く伝わることはなかったですね。もしかしたら、歌手名すら思い出せないのは、まだそのことがトラウマのように残っているからなのかなと。

今更ながら自分でその時の悔しくてやりきれない感情を思い出して、しっかり味わってみようかなと思っているところです。