私たちは様々なモノに囲まれて生きています。あなたが今過ごしている部屋の中には、ソファやテレビ、あるいは机やパソコンなどがあるかもしれません。
ところがそうしたモノは、確固とした存在ではないということが先端の量子論によって分かってきたのです。
あなたが認識するということで、それらとの「関係」を持つことで一時的に存在するように見えているということです。
その証拠に、あなたがその部屋から出ていってしまえば、部屋の中のあらゆるモノは不定の状態になるのです。
つまり、「色即是空」ということです。色というのはモノという意味で、モノはこれすなわち「空」であると言っているのです。
この「色即是空」が言わんとしていることに、人類はようやく科学の分野から追いついてきたということですね。
確固とした存在がないのは、モノだけではなく私たちの自我についても同じなのだろうと考えています。
以前より、自我というのは他者との関係性の上にあるということを言ってきました。ところが、私たちは自分(自我)を独立した個別の存在(モノ)だと思い込んでいるのです。
残念ですが、もうそろそろこの馬鹿げた信念を取り下げる時が近づいているのだと思います。私やあなたはいないのです。
それは関係性でしかなかったのです。だから私たち自我は、本当には独りでは生きていけないのです。ただし、思考によって擬似的に他との関係性を維持することは可能です。
思考をグルグル回転させておけば、自我は思考内の対象との関係性の上に存続できるからです。自我にとって、瞑想が好ましくないと感じるのはこうした理由があったのですね。