相手の立場で考える

子供を対象としたある実験があるのですが、ある家庭で二人の子供がいるとします。上の子は4歳で、下の子が3歳とします。

その子供たちの前に2つの箱が置いてあり、それぞれをAの箱とBの箱とします。その部屋にお母さんが入ってきて、Aの箱におもちゃを入れてフタをして部屋を出ていきます。

次にお父さんが入ってきて、Aの箱からおもちゃを取り出して、それをBの箱に入れてフタをして出ていきます。

箱の中は外からは見えないようになっています。さて、しばらくしてまたお母さんがおもちゃを取りに部屋に入ってくるのですが、ここで子供たちに質問するのです。

「お母さんはどちらの箱を開けようとしますか?」と。すると下の子はBの箱を開けると言うらしいのです。

一方で、上の子はAの箱を開けると言うそうです。この違いはどこからくるのかというと、相手(この場合はお母さん)の立場に立って物事を考えているかどうかなのですね。

下の子は自分がBの箱におもちゃが入っていることを知っているので、その知識をそのまま使ってしまうということです。

上の子の方はあくまでもお母さんはBの箱におもちゃが入っていることを知らないという、お母さんの事情を理解しているのです。

このように、個体差はかなりあるのでしょうけれど、ある年齢を超えて初めて相手の事情を考慮することができるようになるのです。

マインドのこういった仕組みが何かの理由で発達不全を起こすと、相手の立場に立てない大人になってしまう可能性が出てくるのでしょう。

そのような人が仮に結婚して親になったとしたら、その親に育てられる子は健康な心を持って成長できるとはとても思えないですね。