主従関係の逆転

子供の頃に欲しくて仕方なかった自転車をようやく買ってもらって、しばらくはお決まりの練習があって、あっちにフラフラこっちにフラフラ。

そのうちに何とか乗れるようになって、嬉しくて意気揚々とペダルを漕いでいる時に、自転車に乗せられているみたいと言われたことがあるのです。

要するに、側から見てまだまだ乗りこなすまでは行ってなかったのでしょうね。自転車の方が主人で、自分が自転車に従ってしまっている感じだったのでしょう。

このような人間と道具の主従関係が反対になってしまっている場面というのは、ままあるものですね。

クルマを高速道路で走らせている時、一体どこまでスピードが出るものか知りたくて、周囲に誰もいないときを見計らって、アクセルをベタ踏みするのです。

すると、ある速度域を超えたあたりから自分とクルマの主従関係が明らかに逆転するのを感じるのです。もう自分の思い通りには操れなくなったなと分かるのです。

こうした主従関係の逆転が起きると、非常に危険だったり場合によっては苦痛がやってきたりすることもあります。

それが私たちが日々感じている本当の自分と自我の関係です。もう少し分かりやすく表現すると、マインド(思考)というのは、本来便利なツールでしかないはずなのです。

ところが、日々の生活の中でどれだけマインド(思考)によって、自分自身が乗っ取られてしまっていることか。

考えないようにしようとしても、思考を止めることがとても難しいのです。これは明らかに思考というツールの暴走でしかありません。

今一度、マインド=思考は単なるツールであり、それを操る主人としての自分を忘れないでいることですね。