早く解放されるといいなと

私の母親は、あと一ヶ月強で95歳になるのですが、老人ホームに入居させてから早くも一年が経ちました。自宅からクルマですぐのところなので、行ける時は1日おきくらいに面会に行っているのです。

この週末に会いに行った時に、いつになく不審な面持ちで私のことを見つめるので、少し認知症が進行したのかなと思ったのですが、すぐに分かったような面持ちになったのです。

ただ、「早く死にたいねえ!」と言い出して、そのことを一度思い出すとそれを何度となく繰り返すので、こちらとしても「そうだねえ」としか言いようがなくて。

人は何か学びが残っている間は死ねないと聞いたことがあるのですが、もう生きていたってほとんど無意識で暮らしているので、何も得るものはないのではと思うのです。

だったら、早くこの不自由極まりない物質世界から解放してあげたいなと個人的には思ってしまうのですが…。

母親は、若い頃から「長生きはしたくない」と、事あるごとに言い続けてきたので、その真逆になっているのが不思議。もしかしたら、現在の状況を予知していたのかなと。

これは私の個人的な感覚なのですが、人はその肉体の死とともに自我も死ぬことになるのですが、その後非物質の身体になって解放されるのだと。

もしかしたら、母親自身の学びというよりも、周囲の者、例えば私とか家族の方に、死にゆく母親との関係の中で、なんらかの学びがあるのかなと考えてみたり。

だとしたら、どんなものがまだ残っているのかを早急に発見して、なるべく速やかに母親のここでの役目を終えさせてあげたいなと、やや真剣に考えています。