自我は脳内を走るプログラム

昨日のブログで、「あなたは自我ではない」という記事を書きました。今日はその補足的な内容を書いてみようと思います。

私たちの物理的な身体は、遺伝子という精密な設計図によって厳密に作り上げられたものです。これは紛れもない事実ですね。

ところが、一方でこれが私だと実感している自我については、遺伝子にそんな情報はなかったのです。つまりは、設計図なしに作り上げられたのが自我というわけです。

自我の正体を暴こうとして、脳の神経細胞の中をくまなく解剖学的に調べ上げたとしても、決して見つからないはずです。

なぜなら、自我はあれとかこれといった一まとまりの物理的な何かではないからです。それは、脳の神経細胞の中で繰り広げられるある種の働き、あるいは仕組みだからです。

コンピュータで言えば、物理的なハードウェアに対するソフトウェアに相当するものだと思っていいと思います。

つまり、自我とは脳の中で実行されるプログラムではないかということです。いやいや、自分はコンピュータでもなければ、AIロボットでもない、という反論が聞こえてきそうです。

その気持ちはよくわかるのですが、コンピュータの中をどれほど覗き込んだところで、Windowsやさまざまなアプリを見つけることができないのと同じなのです。

しかも自我というプログラムは、長い人生の中で自分が経験したと思い込んでいる過去データを全て自分の一部のようにして、太らせてきたという経緯があります。

そしてその情報を、多くの人たちと共有することで、確固としたものにしてしまったのだと思います。

だからあたかも自分という自我は、実在すると感じるわけです。ただし、もしもあなたが自我だとすると、あなたは脳の神経細胞の中を走る電子の複雑な流れだということになります。

きっとそうは思えないはずですね。だからこそ、自我というプログラムを見続けることで、その観照者である意識こそが、本当のあなただと気づく必要があるのですね。

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