物語とリアルの区別がつかない

私たちは物語の中で暮らしています。このようなことを、その本当の意味を感覚で掴むことは相当に難しいかもしれません。

物語ですから、まず初めに何かがあるはずです。何か、あるいは誰かがいるからこそ、そこに物語が生み出されるのです。

そして物語に欠くことのできないものとして、原因あるいは理由という概念があります。それは、原因や理由なくしてただ起きることを許しません。

きっとどんなことであれ、それなりの原因や理由があるはずだとするわけです。ただ起きるなら、そこに物語を生み出す余地がなくなってしまうからです。

けれどもこの論理には矛盾もあります。なぜなら、ずっと原因を元の元まで辿っていって、最後にはそれが起きる原因は見つけることができないからです。

最初の最初には、どんな原因もないままにただ何かが起きるしかないのですから。そうした特異点に関しては、無視するのが物語なのです。

そう考えてみると、物語というのは本当はどこにも存在しないということに気づけます。思考によって、誠しやかに作り込むのですが、それが想像なのか本物なのかの区別がつかなくなるのです。

そしてそこで生きる限り、自分はいるし、他人もいるし、何に意味があり何に価値があるか、それをみんなで共有することでリアリティが出てくるわけです。

そうなったら、もう物語は物語ではなくなって、全てが本当に起きていることとして感じるようになるのですね。