急に頭の中が真っ白になってしまって…、というのはよく聞く話しですね。緊張してそうなることもあるだろうし、言うべきことを言おうとした途端にそうなってしまうこともあるかもしれません。
とにかく、本人としては突然頭の中から次に言う言葉が消えてしまうわけですから、それはもう軽いパニックになったようなものです。
私にも経験があります。社会人になって初めての海外出張の時に、ニューヨークの空港で当時大人気の女優さんを見かけて、すごくファンだったので握手してもらおうと手を差し出したのです。
ところが、身体は動いたのですが言葉が出てきません。その女優さんの立場になったら、手だけを差し出して無言で立ち尽くしている若い男がいたら、困ってしまうはず。
彼女は「あらっ!」というちょっとした驚きの表情をして笑顔で握手してくれました。それがものすごく恥ずかしいやら何やらで、自分としてはあまり良い思い出にはなっていません。
強い緊張というのは、ある意味恐怖を感じているのに近いのでしょうね。だから冷静ではいられない状態になるので、防衛が働いて無言にさせるのです。
無言にすることで、とんでもないことを口走ってしまうというリスクを避けるわけです。ただ冷静になって考えれば分かることですが、無言でいることの方がどれほどリスクが高くなるのか。
ということは、この防衛は幼い子がやっていることだと分かりますね。親に日頃言いたいことが言えずに我慢している子が、ある瞬間怒りと共に自己表現しようとして、言葉が出なくなるということがあります。
これも同じことですね。本音を言ってしまったら、その結果どんな危険が待っているかを想像することで、頭の中の言葉を奪う誰かが活躍するのです。
もしも今後、あなたが頭が真っ白になる経験をしたなら、それはあなたの中にいる幼い誰かが自分を守ろうとしてやっていることだと理解した上で、その子を優しく抱きしめて安心させてあげることですね。