精神年齢という便利な言葉があります。というのも、私自身、自分の精神年齢は言うのも恥ずかしいくらいに若い感じがするのです。
精神年齢という言葉がなかったら、どう表現すればいいのか微妙な感じがします。それに比較して、実際に肉体年齢のことを考えると、残された時間がそう長くはないと知るのです。
生きてきた時間と残された時間を比べてみて、明らかに残された時間のほうが少ないことを確認すると、いい点と悪い点の両方があると分かります。
まず、悪い方はと言うと、それはもうあれをやったりこれをやったりという時間が明らかに少ないので、それほど多くを望むことができないだろうと思うのです。
若い時には自分の可能性は未知だった分だけ大きかったわけですが、それがもう可能性などないに等しくなってしまったわけです。
もう一方のいい点はどうかというと、それが不思議なことに悪い点と全く同じで、可能性がほとんどなくなってしまったことが、今度は安堵へと変わるのです。
目の前が開かれていると思うと、あれもしなければこれもしなければとたくさん自分への期待が膨らむわけです。
ところが、もうそんな大きな期待をすることができなくなったと知ることで、逆に穏やかな落ち着いた感覚がやってくるのです。
そして生きることの重荷から解放されたような感じもあるのです。自分に期待しないというのは、本当に一つの大きな救いになるということですね。